前半は通根の見方について練習問題を通して理解を深めていきます。
後半は天干にあると相性が悪い十干の組み合わせを解説していきます。
通根の練習問題
Q、下記の命式の用神をとりましょう
Step1:地支を見る
まずは地支の状態を見ます。会局、方合、支合、冲を探します。
- 子丑(北方合半会、支合)
- 寅午(三合火局半会)
- 子午(冲)
Step2:通根を見る
日干→時干→月柱→年干の順で見ていきます。天干が地支にしっかり根を張ることができるのか一個ずつ正しく判断していきます。
- 日干庚:月支丑の蔵干に辛がある。しかし、天干丑は子丑(北方合半会)で、天干に金水が多いので水の力量が強いため、丑には通根できない。
- 時柱戊:午、丑、寅の蔵干にそれぞれ土質があります。
- 午は火土同根の原理、火生土となるので通根できる
- 丑は、力量の強い天干を応援するので、この命式では通根できない
- 寅は午と火局半会とみることができるが、命式全体を見ると、火の力量も弱く、水が強いので、火局半会できないと考える。後天運で寅午戌で火局する場合は通根の可能性が出てくるが、寅単体のみでは木剋土なので通根できない。
- 月干癸&年干壬:子、丑の蔵干に水がある、子は水の四正なので通根する、この命式は水が強いので壬癸は丑の月令を得ている
Step3:身強身弱、用神をとる
身弱の命式
用神:戊
- 土生金で生じる、土剋水で水を剋す。己だと壬癸が濁るので戊の方が妥当
- 庚辛だと金生水と水を旺じてしまうので庚辛は用神にしない方がよいと考える
- 甲で水を漏らす考え方もあるが、庚が身強の場合でないと使えない、身弱命式は自星or印星が用神になる
点数で測ってはいけない理由
五行全部が揃っていると良い命式と言われがちですが、相性の悪い天干同士があるので、一概に五行が全部あればいいというわけではありません。
点数で測るということは、自然界の姿を無視して五行で力量を測っていることになるため、自然界の姿を正しく理解することが大切です。
陽干 | 自然界の姿 | 陰干 | 自然界の姿 |
---|---|---|---|
甲 | 大木 | 乙 | 草花 |
丙 | 太陽 | 丁 | 人口火、ろうそく |
戊 | 山 | 己 | 田畑 |
庚 | 鉱石、斧 | 辛 | 宝石、小さい金属 |
壬 | 海 | 癸 | 雨 |
相性の悪い干
自然界で考えると、天干にないほうが良い十干の組み合わせが出てきます。
乙にとって天干にないほうが良い十干
乙にとって庚辛は天干にあるとNGです。庚乙は干合だから良いという見方をする方もいますが、四柱推命ではそのような見方をしません。乙は金属に切られる、傷つけられてしまうので、木の五行に関する部分に影響があります。(例:神経や肝など)
場合によっては、天干に甲乙が多くて水が不足しているような命式なら庚が用神になる場合もあります。しかし、木の五行に関係することに何かしら副作用が出るかもしれません。
同じ五行の甲の場合は?
甲も木の五行ですが、甲庚丁が天干にあると良いとされるときがあります。
ただ、大洪水の命式の場合は甲が用神になり、庚があると、せっかくの用神が金剋木と甲が剋され、金生水と水も生じられることになるので、この場合の庚は悪い作用になります。
丁にとって天干にないほうが良い十干
丁にとって壬癸は火を消す存在なので、天干にはあってはいけません。丁は自分だけだと燃え続けられないので、少しの水でも忌み嫌います。ただ、必ず甲が必要になるので、甲のためにも地支に水が程よくある分には大丈夫です。
同じ五行の丙の場合は?
丙は太陽なので、自分で燃え続けられるので、あまり助けを必要としません。
壬とは景色がキレイという理由から相性が良いとされています。
癸は雨なので、雨雲は丙にとっては忌み嫌うので、同じ五行でも相性が変わってくるので注意しましょう。
壬癸にとって天干にないほうが良い十干
壬癸はせき止められたり、濁ることを嫌います。己があると濁るので、天干にあるときや、後天運で回る際はいい作用をしません。
自星が壬癸のとき、己は官星にあたります。男性にとっては仕事や名誉や子供、女性にとっては夫や恋人です。当てはまる対象のことで何かしら泥沼化するかもしれません。
叶姉妹の恭子さんは日干「戊」で、さらに天干に「己(劫財)」「壬(偏財)」が揃っています。実父や実妹によってお金のトラブルが多発していて非常に大変だったようです。偏財はお金以外に父親の星でもあります。
おわりに
陰干と官星の組み合わせがNGなことが多いです。
一見世間的には良さそうに見えても、本人からすると苦しい場合があります。地位が高くても名誉によって苦しむ出来事があったり、結婚できても夫によって苦しむ事態となったりするかもしれません。
通根は奥が深いので、時間をかけて学んでいきましょう。